動物看護師のつぶやき
SFTSってなんだろう?
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、2011年に中国の研究者によって発表された、ダニ媒介性のウイルス感染症です。日本国内では2013年に初めてSFTS症例が報告され、それ以降も西日本を中心に毎年発生が報告されています。海外では、中国、韓国、ベトナムでSFTS患者が報告されています。
SFTSの病原体は?
・ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類されるウイルスです。
・マダニ(フタトゲチマダニなど)の体内で増殖し、ダニが刺咬することで人や動物へ感染します。
どんな病気?
・SFTSウイルスに感染すると、5日〜2週間の潜伏期間を経て、発熱や消化器症状(下痢、嘔吐など)、頭痛や筋肉痛を起こし、意識障害などの神経症状、下血や皮下出血などの出血症状を合併することもあります。
・血液検査では白血球減少、血小板減少が多くの症例で認められます。
・致死率は6.3〜30%という報告があります。
人間だけでなく、動物にも感染するの?
・現在、ヒト、イヌ、ネコ、チーターでの発症が確認されていますが、イノシシ、シカ、アライグマなどの野生動物や、ウマ、ヒツジ、ブタなどの産業動物も抗体保有が確認されており、ほとんどの哺乳動物に感染する可能性があります。
・マダニの刺咬によらず、発症した動物の血液から人への直接感染も報告されており、発症動物から飼い主や獣医療関係者への感染が問題となっています。
SFTS感染を防ぐには…
・マダニに刺されない対策:草むらや山の中へ入る時は長袖長ズボンを着用し、ズボンの裾を靴下に入れるなどして、露出を防ぎます。
・犬の散歩後は家に入る前にブラッシングや全身チェックをしてマダニを家に持ち込まないようにします。
・野良猫とのケンカで血液を介し感染する可能性もあります。飼い猫は外に行かないよう、室内で飼育します。
・原因不明の病気の犬や猫には直接触れず、手袋やマスク、ゴーグルなどの防護衣を着用します。
さて、SFTSウイルスは西日本で多く確認されていますが、2019年、北海道でもマダニ媒介性の急性発熱性疾患が確認され、SFTSとは別の新規オルソナイロウイルスが検出されたという報告もありました。
現在、SFTSに有効性が承認されているワクチンや抗ウイルス薬はまだありませんが、抗インフルエンザ薬のファビピラビルや、新しい抗体医薬品などの研究も進められているそうです。
新しい病気やウイルスが見つかると、恐怖や不安が広がりますが、様々な病気の検査法や治療法を開発していく人間の力を期待したいです。
そして、日頃からの感染症予防対策をしっかりやって、病気の蔓延を防ぐことが公衆衛生のマナーですね 😉
動物看護師 赤堀