うさぎは具合いが悪くなると、食欲や排便に影響がでやすく、時に急性に変化します。
ちょっとした違和感などを感じられたら、すぐに病院に御相談ください。
血尿
血尿は様々な理由により発症します。中には重篤な病態が関係していることもあり、外科的な対応が必要なこともあります。経過を見て良いかどうかについて、元気さだけで判断できないと考えていてもよいでしょう。一方、尿が赤くても血液ではないこともありますので、気になる場合は尿を御持参の上、受診ください。
症例
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血液そのものや尿に血が混じる、見た目ではほとんどわからないなど、血液の出方は様々です。
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血尿を排泄する場合、うさぎはお尻を上げる、お腹を下につけるなど、痛みをこらえるポーズをとることがあります。
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手術によって摘出された膀胱結石。血尿の原因の一つです。
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外科手術によって摘出された子宮腺癌。生殖器のトラブルでも血尿という症状に至ります。
うっ滞
うさぎは後腸発酵動物であり、胃腸、特に盲腸がとても大切な器官です。胃腸の機能と運動の不調は、ある日突然やってきます。理由には様々な病態がありますが、急性の胃拡張を呈すれば、重症では、低体温、脱水など循環不全がみられ、ショックに陥り命にかかわることもあり、手厚い看護管理が必要です。
他に同じような症状でも、外科的介入が必要なケースもあるため、歯ぎしりをする、食欲がない、排便量が無いかまたは少ない、トイレにずっといるなどの症状はすぐに病院にご連絡ください。
症例
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ショックをおこしてしまうと、手厚い看護管理と慎重な観察と判断が必要となります。
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内科治療によりうっ滞が改善したケース。胃腸内に発生していた黒色のガスがほぼ消失しています。原因によっては内科管理が有効です。
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うっ滞の原因となっていた胃内異物を外科的に摘出したケース。絨毯がからまっていました。物理的な問題には外科治療が必要と考えられます。
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摘出された腫瘍。腹腔内腫瘍の癒着が腸運動を阻害し、うっ滞の原因を作っていたケース。
歯牙疾患
うさぎそして、飼い主様の多くを悩ませているのがこの歯牙疾患です。歯冠部の過長は、歯が伸びて食べにくくするだけの単純な疾病ではなく、今後の生活に大きく関わることです。当院では麻酔せずに処置することも可能です。歯ぎしりやよだれが多かったり、食事を採っていないと気づいた場合は早めにご連絡ください。また歯根部の細菌感染は膿瘍を形成し、生活の質を大きく落とす難治性の疾病となってしまいます。
症例
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不正咬合により、上下切歯の過剰な過長が認められます。
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切歯の歯根部の細菌感染により、発生・拡張した膿瘍が認められます。
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不正咬合により、臼歯の歯冠部の過長が認められます。尖った歯は頬や舌を傷つけることがあります。
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臼歯の歯根部の細菌感染により、発生・拡張した膿瘍が認められます。
骨折
うさぎの骨は、犬や猫など他の哺乳類動物に比べ軽いことが特徴で、予想外な出来事でも骨折してしまいます。例えば、ちょっとした高さの抱っこからの落下、ケージに挟まること、スタンピング、そしてパニックで暴れまわった際にでも起こり得ます。また、高齢では骨やその周囲組織に基礎疾患が存在する病的骨折と言われる現象が起こり、骨折は何歳になっても起こり得る疾病と言えます。足をつけなくなっていたり、後ろ足が動かない場合には早めに受診ください。
症例
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骨折周辺の組織の内出血の様子。周囲の筋肉などの組織もダメージを受けます。
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器具を用いて骨折を修復し、固定するための手術を行います。
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受傷直後の骨折肢のレントゲン写真。脛骨の骨幹部で粉砕骨折する様子が観察されます。
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整復手術により、骨折が治癒したレントゲン写真。骨の癒合が認められます。