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ときわの広場

    EBMってなんだろう!

    こんにちは。看護師赤堀です。

    今年も残りわずかですね。忘年会シーズン、私の肝臓さん今年もよく働いたねと、ねぎらいのビールでとどめをさす年の瀬です。
    さて、2019ブログ書き納め、何書こうかなーと考えて、今年私の気になったワードについて書くことにしました!

    表題のEBMってなんでしょう!?
    先日行った動物臨床医学会や動物看護学術集会でも、EBMという言葉を何度か耳にしました。
    EBMとは、Evidence-based Medicine、エビデンス(科学的根拠)に基づく医療です。

    あたりまえじゃんー?逆に根も葉もない非科学的な医療なんて信用できないよーて感覚ですが、EBMとはそんな単純な心がけではなくて、とてもテクニカルな行動指針です。人医療では90年代くらいから重視されるようになり、国際的な指針ガイドラインも出されています。

    ひとことでエビデンスと言っても、一患者さんの症例報告であったり、集団を対象にした長期間の研究(コホート研究)であったり、無作為的に対象を分けたランダム化比較試験であったり…、と研究のデザイン(手法や設定)は様々です。データの偏りや研究者の主観が入っていないかなど、その研究デザインによって”確信性の強さ”がレベル分けされます。
    同じテーマの研究報告を集めて解析した「システマティックレビュー」はレベルⅠ(高いほう)、専門家個人の意見はレベルⅥ(低いほう)、といった具合にレベル分類があります。
    (注:レベルが低いから信用できないとか、高いから第一選択とかいうことではありません。例えば、大規模調査ができない稀少な病気では一症例報告も重要なエビデンスです。)
    そのエビデンスレベルと、推奨度の強さ(その治療法による利益と不利益のバランス)のグレードから、診療ガイドラインが作られています。

    提唱者GordonさんによればEBMとは「個々の患者が有する問題点に対して、医師の専門的技能と利用可能な最良のエビデンスを合わせて適用しようとする医療」です。

    ネットで誰でも論文検索できる時代ですが、「〇〇が××に効く!」みたいな、ホンマでっか!?的な論文を1個とりあげてEBMを謳うのはちょっとおナンセンス…

     

    さて、獣医療においてもEBMの意識は広まってきていますが、国際的な指針などもまだなく、臨床に利用できるシステマティックレビューも少ない現状です。
    ちなみにイギリスでは獣医学生にEVM(Evidence-based Veterinary Medicine)として教育されているそうです。
    きちんとした科学的根拠を用い、そこに今までの経験、コストや技術、そして何より患者さんのご家族の意向を併せて、最適な治療法を選択していくことがEVMです。

    私たちはフードやサプリのメーカーにセミナーをしてもらうことがありますが、なるほど!と勉強になるだけでなく、うーん、それだけの根拠で患者さんに勧められるかな?と思うこともたまにあります。信頼性の高い情報を見極めて、患者さんに提供していくには、研究手法や統計に関する知識も必要だと感じます…
    また、再生医療のような先進医療を取り入れる際にもEBMは大事な行動指針です。

     

    そしてやっぱり、動物のことを誰よりもわかっているのは飼い主さん。飼い主さんとの対話から動物の状態をより知り、ご家族の希望を知り、最適な医療を提供するのが私たちの役目です。

     

    研究ではなく臨床の場では「あの時ああしとけばよかった」という後悔をすることのないよう、今までの経験と知識を総動員して今できる最善の策を講じなければなりません。
    日々進化する医療に関わる者として、知識や技術のアップデートをすること、そしてあふれる情報におどらされず、吟味し活用する、という情報リテラシーも磨いていかなければ!と思いにふける年の暮れでした…

     

    さて、年末年始の飲み過ぎもウコンでのりきるぞーと思ってましたが、ウコンの成分クルクミンは生体に吸収されにくく薬効が期待できないという論文も出てます。
    エビデンスの吟味が必要ですね。

    😀 😀 😀
    令和2年もどうぞよろしくお願いします。
    食べ過ぎ飲み過ぎ、パーティーシーズンはペットの誤食も増えますのでくれぐれもお気を付けて。
    良いお年をお迎えください

    😀 😀 😀

    <参考文献>
    ・エビデンスに基づく医療(EBM)の実践ガイドライン システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目(PRISMA声明)、卓 興鋼, 吉田 佳督, 大森 豊緑, 情報管理 54巻5号 p.254-266, 2011

    ・The Awareness of the International Veterinary Profession of Evidence-Based Veterinary Medicine and Preferred Methods of Training. Huntley SJ, et al. Vet Sci. 2017.

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