えづく、吐く、食欲がない犬の症例犬の診療
消化器科1 犬の胃拡張捻転症候群
こんにちは、岡村です。
おいしいご飯を食べた後など、胃がふくれた状態で散歩や運動をすることで、
主に大型犬の胃がよじれてしまう疾患があります。
胃捻転です
大型犬の飼い主さんの中には、既にこの疾患をご存知の方も多く、
気をつけているなど、比較的有名な疾患です。
この疾患、 血行を傷害し、
不整脈やショックを誘発し症候群となり、動物の状態を悪くさせ、
とても危険で命を脅かします
緊急的な応急手当は、口から太い口径のチューブを胃まで入れて、ガスや液体をだして減圧し、
胃洗浄などを行います。
しかし、よじれてしまった胃は、空っぽならば減圧のみで戻る事も考えられますが、
一般的には胃の中は液体・個体で充満しているため、重く、
容易に捻転が戻る事はないでしょう。
慢性的な胃拡張や胃捻転は、発症や胃破裂を導くこともあります。
また、捻転により胃の血行が傷害されることもよくありません
従ってこの疾患は緊急的な対応の後、ねじれを整復し、胃を固定するための手術を行うことがベストと考えます。
胃の捻転は90度から360度まで様々です。
診断に重要なことは経過と症状と迅速さで、
飼い主さんからの禀告が大切で、
打診、エックス線撮影で診断します。
症候群としてどう影響しているのかは心電図や血液検査などでフォローします。
来院以降、検査や輸液などの処置がめまぐるしく行われ、
どんどん進めていかないといけない緊急疾患で、これでなくなってしまう子もいます
手術は捻転した胃を整復し、胃を腹壁に固定します。
肋骨周囲胃腹壁固定術やベルトループ法などがあります。
ワイマラナーのこの子も散歩後の様子がおかしいとすぐに気づかれたため、
早く手術まで進めることができました。
迷わず早く処置を進めることが大切です。
術後は、とても甘えたで寂しがりで、ご主人にべったり
これからも一緒にいれるね
急にお腹がはってきた、えづいているんだけども何もでない、
突然ぐったりしてきたなどの大型犬の症状は、
放っておかないことがわんちゃんの命を救うことにつながってきます。
大型犬の飼い主さんは、予防法をしることと、症状を知ることがとても大切です。
胸の深い大型犬、ミニチュア・ダックスフンドもありえます。
散歩はお腹いっぱいでいかないよう注意しましょうね