おしっこが出ない猫の症例猫の診療
泌尿器科2 猫の下部尿路疾患
こんにちは、岡村です。
ずいぶん寒くなってきました
日が暮れると、もう半袖で外にいられないくらいですね。
寒くなると増える疾患に、猫ちゃんの泌尿器系疾患があります
中でも、尿路閉塞の状態は腎後性の高窒素血症(尿毒症)を導き、致命的となります。
おしっこをしたいのに出ないことは、それが半日であったとしてもとても辛いものです
この疾患を例を交えてお話したいと思います。
尿がでていない状態をエコーでみてみるとこんなふうに見えることがあり、
左側の丸く黒い膀胱から、右側の細い尿道へと至りますが、
尿道には白い障害物が並んでみられています。ちょっとわかりにくいですね
この白い物が尿道全域にたまり閉塞物となって、おしっこを出せなくしてしまっています
尿道カテーテルをいれると、ガリガリと手応えを感じ、
エコーで白くみられた障害物は実際にはこれです
カテーテルに沿ってみられる塩の結晶みたいなものがそうです
顕微鏡でこれをみてみると、
結晶物があることがわかりました
これはストラバイトという結晶で、よくみられるものなのです。
治療は、このようなカテーテルによる導尿と、尿道・膀胱を掃除することを緊急的に行い、
次いで食事管理も必要です。
状態によっては入院管理も必要となってしまいます。
何度も繰り返す場合は外科手術も考えなくてはいけません。
いかんせん、発生と再発の多いこの疾患
飼い主さんの中には、
最初から食事に気を遣うなど、気をつけていらっしゃるかたも多くおられます
しかし、一旦罹患した場合、油断していると、
またかわいそうな目にあわさせてしまいますので、油断大敵です
発症してしまうと、
何回もトイレに行く様子があるのに、尿がほとんど出ていないという状態に
早く気づいてあげられるかが大切になります
完全な予防が難しい疾患だけに、早期発見にと努めたいですね