ときわの広場

PCRってなんだろう?

動物看護師のつぶやき

外出自粛や休校で、うちで何しよう?という子どもたちへ向け、いろいろな企業が動画やアプリなどの学習支援コンテンツを公開しているそうです(参考:文科省HP https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_00452.html

ということで、今回のブログは大人向け理科の時間、雑学支援コンテンツとして発信したいと思います(笑)お暇な方はお読み下さい 😉

さて、なんだかよくわからないけど使ってる話題の言葉、「PCR」について解説します!

ワイドショーでは「PCR検査を受けさせろー」とかいう議論を見たりしますが、そういう議論はさておき、そもそもPCRとは?という基本、原理を知ろうというマニアックな内容でお送りします。

※簡略化したり擬人化したりして突っ込みどころある表現があるかもしれませんが、ご容赦ください…

動物医療においても、感染症検査だけでなく、遺伝病やリンパ腫の診断などでもPCRは使われています。
で、PCRとは何の略かというと、ポリメラーゼチェーンリアクション、という必殺技の名前みたいな言葉ですが、日本語ではポリメラーゼ連鎖反応といいます。はて、なんのこっちゃますます難しくなりましたが、ざっくりいうと、ポリメラーゼという酵素を使って特定の遺伝子を人工的に増幅させる、という技術です。そうしていっぱい増やして観察できるようにして、探してるターゲットの遺伝子があるかどうかを調べるというわけです。病原体の検出だけでなく、様々な分子生物学研究の基礎となる技術です。考えた人、すごいですね。

さらに深掘りしちゃいましょう。遺伝子は2本のDNAがらせん状にセットになってできてます(ウイルスの場合DNAではなくRNAという物質のものもいますがここではDNAとします)
温度が高くなるとこの2本のDNA鎖は1本ずつに別れてしまいます。
ここに、起点となる断片(プライマーといいます)を入れておき温度を下げると、別れた隙にプライマーがくっつきます。そこをきっかけに、ポリメラーゼがせっせと材料をつなげて新たなDNAをつくっていきます。別れた2本のDNAにそれぞれ新しい相手の分身がくっつくイメージです。
こうして高温、低温の温度操作を何回か繰り返すと、別れては新しい相手を作り、別れてはまた相手を作り…とそれぞれの相手の分身が作られて、倍々ゲームでどんどんDNAを増やせるという画期的な技です。

増やしただけでは目的のDNAがあるのかどうかわからないので、それを確認するのにさらなる技を繰り出します。その名も「電気泳動」です。アガロースゲル(寒天みたいなの)の中に染色したDNA溶液を入れて電圧をかけます。するとDNAたちは静電気を帯びているので、ゲルの中をゆっくり一定方向に流れていきます。ゲルの中は進みにくいので、DNAの大きさによって進む距離に差が出ます。この進みっぷりを比べることで、目的としてるDNAがあるかどうかが見える、という仕組みです。(電気泳動を行わずに機械で測るリアルタイムPCRというものもあります)

こうして、わずかなサンプルから特定の遺伝子を検出できるのがPCR検査なんですね。

 

検査結果が「陰性/陽性」という言葉から、リトマス試験紙みたいにパッと結果が見えて白黒はっきりつくようなイメージを持ってしまいがちですが、そんな単純なものではないんですね。
さらに、サンプルからDNAを抽出するという準備作業にもとても手間がかかるし、感染症の場合はバイオセイフティーレベルという安全性レベルに適合した施設で、熟練した技術者が操作を行う必要があります。そういうことを考えると、PCR検査は件数が限られたり時間がかかったり、100%検出できるものでもない、ということも理解しやすくなると思います。基礎や原理を知るとニュースの見方もちょっと変わりますね。

 

今も世界中で様々な企業や研究機関が検査キットやワクチンの開発に取り組んでいます。感染症に立ち向かう人間の力ってやっぱりすごいなぁと思います。
私たち一人一人にできることは、日頃の予防、健康管理と、デマや混乱の加担者にならないように知識や情報を取り入れる心がけでしょうか 😉
長文お読み頂きありがとうございました 🙂

動物看護師 赤堀

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